現在でも世界で採掘され続けている金。現在までに世界でどれくらいの金が産出されていて、あとどれくらい埋蔵されているのでしょうか。ここではこれまでの金の採掘量と埋蔵量、各国の金生産の歴史などについて紹介します。
これまで人類が採掘していきた金の総量は約18万トンで、この量はオリンピック公式競技用プールの約3.8杯分に匹敵する量です。そして地中の埋蔵量は5万トンほどと考えられており、現在、金は年間約3,000トンのペースで採掘されているため、このままだとおよそ15年には枯渇してしまう計算になります。
これは埋蔵金は地中に残っている金の量ではなく、あくまで採掘可能な金を指します。今の技術では採掘できない金や、採掘できる金量と採掘コストが釣り合っていないものは埋蔵量に含みません。
例えば、海水には非常に薄い濃度の金が眠っています。薄いとはいえ地球上の海水すべての量で考えると、およそ50億トンもの金が海水から抽出できる計算です。現在は採掘できなくても、将来的には技術が進歩して発掘できるかもしれません。このように、今後金の埋蔵量が増える可能性は十分考えられます。
2021年の各国の産出量をランキングにて紹介します。
順位 | 国名 | 産出量(トン)(2021年) |
---|---|---|
1 | 中華人民共和国(中国) | 370 |
2 | オーストラリア | 330 |
3 | ロシア | 300 |
4 | アメリカ合衆国(米国) | 180 |
5 | カナダ | 170 |
6 | ガーナ | 130 |
7 | メキシコ/南アフリカ/ウズベキスタン | 100 |
10 | インドネシア/ペルー | 90 |
(参照:外務省(金の産出量の多い国 ))
2020年時点での各国の埋蔵量をランキングにて紹介します。
順位 | 国名 | 埋蔵量(トン)(2020年時点) |
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1 | オーストラリア | 10,000 |
2 | ロシア | 7,500 |
3 | アメリカ合衆国(米国) | 3,000 |
4 | スーダン/ペルー | 2,700 |
5 | インドネシア | 2,600 |
6 | ブラジル | 2,400 |
7 | カナダ | 2,200 |
8 | 中華人民共和国(中国) | 2,000 |
9 | ウズベキスタン | 1,800 |
10 | アルゼンチン | 1,600 |
全世界 | 53,000 |
(参照:買取本舗七福神(金の産出国はどんな国?産出量・埋蔵量ランキング))
人間は太古の時代から金を発掘してきました。長い歴史の中で国別金の生産量は年々変化しています。例えば2005年から2020年までだと、2005年のトップは南アフリカで生産量295トンと世界総量の12%を占めていました。しかし、その後南アフリカの金生産量は減少していき、2019年には生産量が2005年の3分の1以下に。生産量順位も12位にまで後退し、2007年には中国が世界一になりました。
中国は、その後も右肩上がりの増産を続けます。2005年時点で生産量225トンだったのが、2014年にはほぼ倍に。ただしその後、環境規制強化が世界のトレンドとなったことから2017年を境に生産量を減少させています。
世界全体で見ると、金の年間生産量は2009年までは2,400トン前後で推移していました。2010年に2,500トンを超えると、中国の急激な増産の影響もあり増加傾向を続けます。2017年には3,200トンを超え、2018年の3,300トンでいったん落ち着きを見せました。2020年は新型コロナの影響もあり、前年に比べて100トンの減産となっています。
1848年にカルフォルニア州で金鉱脈が発見。アメリカ全土や海外から一攫千金を夢見てこの地に押し寄せ、1年で10万人も人口が増加しました。ゴールドラッシュです。ゴールドラッシュで産出された金は、アメリカはもちろん世界の貨幣供給量にも影響を与えることとなりました。
1980年代、中国政府の主導で金の採掘を本格的に開始。それから約20年後の2007年に、中国は金の産出国として世界1位にランクされるようになりました。中国では国内需要の高まりもあり、金鉱山だけでなくレアメタルの採掘を積極的に進めています。この先もしばらくの間は、中国産の金が世界の市場に存在感を示し続けるでしょう。
1770年にイギリスの探検家キャプテン・クックが現在のシドニーに到着したことをきっかけに、白人による入植が始まります。当時イギリス政府は監獄を建設し、オーストラリアを犯罪者の流刑地として使用。ところが、この地で巨大な金鉱が発見され財宝が埋蔵されている大陸として注目されるようにまります。現地では独立に向けての気運が高まり、1901年オーストラリアの入植者たちが連邦政府を樹立してイギリスから独立。今のオーストラリアがあるのは金が発見されたためと言っても過言ではありません。
旧ソ連が成立する以前からシア東部のコルイマ川中流域で砂金が採れることが知られていましたが、氷点下が続く厳しい土地のため金採掘は進みませんでした。転機は1917年のロシア革命。政治犯との烙印を押された人が次々と極寒の地シベリアへ送られ、重労働を強いられることに。その強制労働場のひとつが、砂金が採れるコルイマ川上流にあるコルィマ鉱山でした。金採掘事業が最盛期を迎えた時期は、労働者が着いてから死亡するまでの平均期間は約1ヶ月だったと言われています。
14世紀にマルコポーロによって書かれた「東方見聞録」の中で「黄金の国ジパング」と紹介されたように、日本で多くの金が産出された時期があります。特に17世紀に採掘が始まった佐渡金山からは、その後約400年間大量の金が産出されました。ただし、明治以降になると日本のほとんどの鉱山から金が堀り尽くされてかつての隆盛は見る影もなくなりました。とは言え在でも生産量はゼロではなく、鹿児島県の菱刈鉱山で金の採掘が行われています。
(参照:買取専門店おたからや(金の産出国トップ10はここ!需要と供給に影響を与える各国の事情とは?))
金は不変性があることから、掘り出された分だけ地上在庫量が増えています。現在の年間需要のうち、約3分の1の量が市場からのリサイクルによってまかなわれているのです。
金属ジュエリーなどはもちろん、パソコンなどの電気製品や携帯電話の回路基板からも金を取り出します。1トンの金鉱石から採取できる金量はわずか5g程度なのに対し、携帯電話1トンからは約150gもの金が回収できるのです。日本は、金のリサイクル技術に優れています。