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金投資や投資ビジネスの世界では「有事の金」という言葉があります。これは戦争や大災害といった国際的な非常事態下における、金の価値の特性を表した用語です。このページでは、有事の金について解説します。
金投資の世界で「有事の金」という現象や言葉が発生する理由としては、金が持っている資産としての特徴にあります。そのため、有事の金の理由を正しく理解するには、まず投資対象としての金の特性を把握しておかなければなりません。
「有事」とは、戦争や世界規模の感染症拡大(パンデミック)のように、国際的な非常事態を指しており、金相場において金の価格は有事の際に高騰しやすい性質を持っています。
この理由として、金と一般的な通貨や国債などとの性質の違いが挙げられます。
希少な貴金属として存在している金に対して、円や米ドルといった通貨は日本やアメリカが発行している通貨であり、その価値は日本やアメリカの情勢や国としての信用性の影響を受けます。
通貨を発行している国の経済や情勢が悪化し、国としての信用性が下落すると、通貨に対する信用性も下落して価値が下がってしまいます。
対する金は世界規模で価値が共有されている貴金属であり、常にある一定の価値を有しているのです。
つまり、有事のように国際情勢が不安定化した際には、一般的な通貨の信用性が下がり、相対的に金の資産価値が上がっていくという仕組みです。
金は特定の国家が破綻しても貴金属としての資産価値が認められているため、有事のような世界情勢が不安定になっている時でもある程度安定した価値を保つ、あるいは高騰しやすくなります。
言い換えれば、国際社会が安定している時は信用度の高い国の通貨が高騰して、金の価格は下落しやすいということになるでしょう。
国際情勢の悪化や変化に対して価値を喪失しにくいということは、資産価値が失われにくいということ。投資として比較的ローリスクと考えられます。だからこそ金は有事のような特別の事情がない限り、極端な価格変動が起こりにくいため、短期間で一気に利益を得られるような性質を持ちにくい点も理解しておかなければなりません。
金投資はリスクの低さを含めて特徴的な性質を有しており、リスクマネジメントの観点から分散投資を考える際の1つとして利用するといったことが無難です。
「有事の金」と言われるものの、有事の際にはすでに金価格は相対的に上昇しているため、有事が発生してから金を購入していてはイニシャルコストが増大して利回りが低下してしまいます。また有事が落ち着けば金価格が下落するため、損失が増大する恐れもあるでしょう。
そのため、有事の金による恩恵を狙おうとすれば、あくまでも「有事が発生する前から金を購入して保有しておく」ことが肝要となります。
金を購入するタイミングとしてはいくつかの考え方がありますが、まずは国際社会が安定して各国の経済活動が活性化して金価格が落ち着いている時に購入するのが無難です。
また、一度に多くの金を購入するのでなく、普段からこつこつと金を購入していくといった純金積立なども重要な方法のひとつ。大切なことは、金の価格が比較的安定している時期に、少しずつでも資産として保有量を増やしていくという意識です。
金投資は大まかに言えば「金を購入すること」となりますが、具体的な方法としては複数のパターンが考えられます。
金地金とは、例えば「金の延べ棒」と呼ばれるような金塊や、あるいは金のプレートなどを購入しておく方法です。金地金は5g・10g・500g・1kgなど様々な重量ごとに流通しており、サイズに合わせた費用を支払って金地金の購入に充てます。なお購入時には「バーチャージ」という手数料がかかります。
あるいは外国政府が発行している金貨や、アクセサリーや置物として製作された金製品を購入するという方法もあるでしょう。ただし、この場合は加工費や作品としての価値がコストに上乗せされるため、金の価格そのものよりも購入費用が多くかかります。
純金積立は文字通り、金を少しずつ購入して積み立てていく投資方法であり、一般的には毎月一定額の金を購入します。また相場に合わせて購入量を調節することもあるでしょう。
金投資信託は金を対象とした投資信託であり、他の投資よりも1口当たりのコストを抑えやすいことが特徴です。ただし手数料として信託報酬が発生することは無視できません。
最後に金ETFとは金価格に連動する上場投資信託であり、通常の金投資信託よりも最低購入金額が高い反面、手数料を抑えられます。
有事の金と呼ばれる金投資ですが、そもそも有事がどのタイミングで発生するのか見極めることは困難です。そのため、いつ有事が発生して金相場に変動が訪れても対応できるよう、日頃からコツコツと金の購入を続けられる純金積立から始めてみることがベターといえるでしょう。
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